部分褪色を修正します。

部分褪色

シャツを点検しておりましたら、部分的な褪色を発見しました。
写真上にマークしていますが、横に細長く褪色しています。
恐らく、畳んで重ねて保管されていて、この部分だけが日光に晒され、褪色してしまったのかな?と想像します。

まずはクリーニングをし、褪色の処理はそれからになります。
褪色の処理とは、何色が褪色しているかを判断し、その色を足してやるということです。

今回はとても簡単な事例です。
写真をよ~く見てください。
褪色部分に何色を足してやれば周囲となじむでしょうか?

褪色修正後

正解は「赤」です。

赤を薄く足してやると、上の写真のように、褪色が分からなくなりました。
一番上の写真を見ると、全体が少し赤っぽいのに褪色部分は青っぽいのが分かりますか?
それさえ分かれば、赤を少したしてやると元に戻ると分かるのです。

ムートンを水洗いするとフカフカです!

お預かりしたムートン

ムートンの敷き物をお預かりいたしました。
こちらのお客様からムートンをお預かりするのは初めてです。
ムートンの毛がボソボソしており、大きな塊をいくつも作っています。

通常、クリーニング店では自店で洗わないで、革製品を洗ってくれる外注先に洗ってもらうところがほとんどだと思います。
当店も以前は外注先に依頼しておりましたが、なかなか品質が満足できませんでした。

そこで大きさが一匹程度であれば、自店で水洗いをすることとしました。
臭いも取れ、風合いも格段に向上し、満足のいく品質を提供できるようになりました。

クリーニング後

写真でその風合いを伝えることはとても困難ですが、毛が固まっていないのは分かっていただけるのではないでしょうか?
サラサラ・フワフワ、快適な敷き物となりました。

ただし、当店の設備的に大きなムートンは水洗いできません。
また、革部分が硬化しているものは、洗うと割れてしまいますので、クリーニングできない場合もございます。

カビが生えてしまいました。

カビの生えたベスト

お客様がベストとジャケットにカビが生えたとお持ちくださいました。
ベストの背中部分にカビが生えているようです。
まだまだ初期の状態で、この状態でお持ちいただいたので、生地の表面に生えているだけだと思います。

ドライクリーニング後

これをドライクリーニングしてやると、一見落ちたように見えます(よく見ると跡がありますが)。
しかしこれは、表面にあったものが除去されただけで、根本的には消滅していないと思われます。
このままお客様に返却すれば、またすぐにカビが生えてきます(条件が整えばですが)。

水洗い後

そこで当店では、可能な限り水洗いまで行います。
これで黴臭さも除去できますし、カビの元の栄養分も除去されます。

カビは温度・湿度・栄養分の条件が整えば発生します。
どうにかして条件が整わなくできればOKなのです。
当店のダブルクリーニングでカビの栄養分となるシミや汚れは除去できます(ただし天然繊維はそれ自体が栄養分たりえます)。
あとはお客様の努力で温度と湿度をカビに不適な状態にしていただければ大丈夫です!

これはさすがに諦めてください!

ヤケの酷いブレザー

とてもヤケの酷いブレザーです。
ラペルの裏とか、脇の下辺りに、かすかに元の色を残しています。

しかし、こちらの商品はさすがに諦めていただかなくてはなりません。

まずは生地の組成が問題です。
ポリエステルのブレザーですので、染め替えあるいは同じ色で染め上げることができません。
ポリエステルでなく、綿やウールであれば、あるいはポリエステルの割合が半分以下であれば、久松共働センターにお願いして染めていただけるですが、ポリエステルはできないのです(染まらないのです)。

もう一つの点は、こちらが廉価なメーカーの商品だということです。
お客様の思い入れとか、思い出とか、お金に換算できない洋服に込めた思いが存在するとは思いますが、あまり高額な処理は考えられません。

今回は、せっかくご相談いただきましたが、諦めていただくしか方法がありません。

カシミヤの風合いを復元します。

ウールのようなカシミヤ

初めてのお客様から電話をいただきました。
ネットで「美品」のカシミヤを購入したのだが、どう触ってもウールの、それもあまり良くないウールの感触でショックを受けている。
この風合いを復元できるでしょうか?とのお問い合わせでした。

写真で、その風合いの酷さを分かっていただくことは困難と思いますが、ボサボサ・パサパサ・ゴワゴワでした。
このご相談は決して珍しいものではありません。

ドライクリーニングの繰り返し、お手入れ不足、不適切な保管方法等々の理由で、どんなに良い感触であったカシミヤも、ウール以下になってしまいます。

処理したカシミヤ

処理は、水洗い&栄養補給、濡れている状態でのブラッシング、アイロンで毛並みを整える、蒸気で少しだけ毛を起こしてやる、と言ったところです。
表も裏も、端から端まで、しっかりと処理してやると、繊細なカシミヤの風合いが戻ってきます。

カシミヤの風合いで、?を感じている方、お問い合わせは無料です。
遠慮なくお電話ください。

レースのカーテンにカビです。

レースのカーテンのカビ

レースのカーテンをお預かりしました。
裾のほうに点々と黒いカビが生えています。
窓が結露した際に、なるべく結露を拭くと言われていましたが、どうしてもレースのカーテンにはカビが生えてしまいがちです。

カビを生やさないためには、結露を防ぐのが一番ですが、そのための方策は私の専門ではないので、そちらに譲ります。

カビが発生しても、ごくごく初期であれば家庭洗濯でも除去できますし、レースのカーテンは、基本的には家庭洗濯可なので、早めにこまめにを実践できれば、ご家庭で対応可となります。
今回の写真のカーテンは、軽症の部類に入ると思います。

クリーニング後のカーテン

今回は軽症でしたので、酸素系の漂白剤を使って洗うことで、キレイに除去できました。
しかし症状が進んでしまうと、必ずしも全て除去できるとは限りません。
またカビは生地を傷めますので、カビが酷い品物は、生地の痛みも酷いのです。

場合によっては、カビと紫外線に傷めつけられ、洗うとボロボロということもあります。
酷くなり過ぎないうちに対応ください。

表からシルエットを作っていきます。

身頃をプレス

いよいよ最終的にしっかりとシルエットを復元するために、表側からプレスしてゆきます。
右側の身頃からスタートし、ぐるっと一周くまなくプレスしてゆきます。

ボディーをぐるっと一周仕上げた状態が上の写真です。

ラペルをプレス

続いてラペルをプレスします。
ここは背広の顔ですので、柔らかいシルエットを演出するために、特に工夫を凝らして仕上げています。

一応完成

最後に袖山と肩パッドをプレスし、一応完了となります。
私はここで、完成した背広をトルソーに着せて、少し放置します。
放置し、何度かいろいろな角度から背広を眺め、修正の必要な個所を洗い出します。

裏側からしっかりが大切です。

背側も裏から

見返しを左右とも裏側からしっかり仕上げます。
ここをしっかり仕上げることがとても大切なのは、ここに固く厚みのある芯地が入っており、それが背広のシルエットを作るからです。

見返しに続いて、脇縫い線や背縫い線部分を、これも裏側から仕上げます。
今回の背広は総裏ですから、裏地の縮みを修正しつつ、また裏地のシワも伸ばします。
裏から一通り仕上げた状態が上の写真です。

裏側の最後に袖裏、袖口、肩パッド等を仕上げます。

袖をプレス

裏側からのプレスが終了すると、次はいよいよ表からです。
袖を表側からプレスします。
厚みを薄く(もちろん背広のデザインによりけりですが)、そしてボディーに沿うように仕上げたい部分です。

右袖をプレスし写真を撮りました。

水洗いした背広を仕上げていきます。

水洗いした背広

そろそろ9月に行われる九州松田塾に持参する背広の準備をと思い立ちました。
処理前の写真は撮り忘れましたので、洗い上がりの状態からスタートします。

縫い代や開口部にしつけを施し、水洗いを行います。
洗い上がりを、重りや特殊なハンガーなどを使い、自然乾燥させたものが上記の写真となります。

プレスの第一歩は裏側から行います。

右の見返しをプレス

右側(写真向かって左側、ボタンのある側)の見返し(背広の裏側)からアイロンをあてていきます。
裏側から背広の中にある芯地をしっかり伸ばして復元していきます。

この写真では、右側の見返し及びラペルの裏側を仕上げ、写真を撮りました。
右側と左側では状態が違うのが分かるでしょうか?