ポリウレタン弾性糸の寿命です。

弾性糸が伸びたスカート

お預かりした商品を仕上げていたところ、どうも商品の様子が変です。
所々、波打っています。
波打ちを抑え込むために、色々と工夫してはみましたが、少し時間をおくと元のように戻ってしまいます。

そこでクリーニング前に撮った写真をチェックしてみました。
すると、お預かり時に、既にこの波打ちは発生していたことが分かりました。

クリーニング前の状態

そしてこの商品の履歴をチェックしたところ、2016年からお預かりが始まっていました。
もう6年が経過ということになります。

これらの情報を総合的考え、この波打ちは、ポリウレタン弾性糸の寿命で、弾性糸が伸びて戻らなくなったと確信できました。
部分的に寿命を迎えた弾性糸が伸びたままとなり、生地が波打っているのです。

帆布製のバッグのご依頼です。

帆布製のバッグ

お客様ご愛用の帆布製のバッグです。
白い部分に汚れが目立つので、キレイにして欲しいとのご要望です。

すべて布製なので、ある程度キレイにはできますということでお預かりしました。
真っ白であればかなりキレイに出来るのですが、今回の商品は濃紺もかなりの部分あり、ここから色が出たり、ここの色が褪せると良くないので、あまりきつい処理をしたくないのです。

クリーニング後

クリーニングをし、上記の写真のようになりました。
こういった品物をキレイに保つ秘訣はただ一つです。
汚れる前に洗う!です。

汚れてしまってからでは遅いのです。
家庭でも洗える商品ですから、ここからはこまめに洗って、キレイを保持していただきたいものです。

家庭の洗濯機で洗われてしまいました。

家庭洗濯された品物

お客様がお嬢さんのジャケットを、誤って家庭の洗濯機で洗ってしまったと、当店にお持ちくださいました。
まだ湿ったまま、慌ててお持ちくださったようです。

ハンガーアップして見る限り、そこまで大きく縮んでいるようには見えませんが、元のサイズが分かりませんから、縫い代などの具合を頼りに、とりあえず成形してみるしかありません。

成形したジャケット

エリに黄ばみがありましたので、再度の水洗いと黄ばみ取りをし、普通に仕上げました。
これを実際にお嬢様に着ていただき、これで良いのか?袖が足りないとか、丈が足りないとか、教えていただかなくては次に進めません。

ということで、ちょっと中途半端ですがここで一旦納品です。
試着していただき、更に必要であれば手をかけてゆくということになります。

こういったアイテムを作るのは、なぜ?

トレーナー

なんの変哲もないトレーナーに見えますが、品質表示を見てびっくりです。
全て✖です。
そしてプロのドライクリーニング店にと書いてあります。

モンクレールの商品ですから、けっこうなお値段だと思います。
そしてメンテナンスに関して、全て✖の表示をしておいて、クリーニング店に全責任を押し付ける???
これって健全なメーカーなの?と、モンクレに限らず、このような全て✖製品を販売するメーカーに対して強く感じます。

このような商品をどうしても売りたいのなら、全て✖にし、この商品は使い捨てです、洗濯は想定しておりませんと明記して売って欲しいものです。
それが製造する者の責任ではないでしょうか。

すべて✖の表示

性質の違う素材の組み合わせは厄介です。

綿とシルクのジャケット

上記写真の品物は、袖や背中のニット部分が綿、カフスや身頃部分がシルクというものです。
綿部分は汚れてもいますが、日焼けしてもおります。
シルク部分は、エリとカフス部分の典型的な着用による汚れです。

アルカリに強い綿とアルカリに弱いシルク。
酸に弱い綿と酸に強いシルク。
このような性質の異なる素材を組み合わされると、処理がとても難しくなってしまいます。

処理後のジャケット

綿には綿用の処理、シルクにはシルク用の処理を行い、最後に全体を水洗いし、写真のように仕上げました。
こういった異素材組み合わせで、メンテナンスに手間のかかる品物をキレイに保つ最善の道は、汚れる前にメンテナンスすることです。
汚れていると気付いてからでは、遅いのです。

家庭洗濯で縮んでしまったとのことです。

縮んだセーター

おじいちゃんの形見のセーターを、誤って家庭洗濯してしまい、縮んでしまったのを元に戻せるかとのお問い合わせをいただきました。
やってみないとどの程度元のサイズまで伸ばせるか分からないのですが、参考になる目安が欲しいので、同じものでなくても良いので、この程度の大きさだったと分かる品物をお持ちいただきました。

かなり縮んでいます。
生地自体もフェルト化(毛糸どうしが絡み合ったしまい、固くなった状態)しており、う~ん、伸ばせるかな?という状態です。

重りを使って伸ばしています

セーターの生地がスムーズに伸びるように薬剤をしっかりとしみ込ませます。
しっかりとしたハンガーに着せ、各所に重りをセットし伸ばしていきます。
途中でサイズを何度もチェックします。
伸び過ぎを防ぐためです。

今回のセーターはフェルト化していることもあり、伸び過ぎるということはありませんでした。

かなり復元したセーター

上の写真が結果です。
青のセーターまではあと少し足りませんが、もう伸ばすのはいっぱいいっぱいの感じです。
おじいちゃんの形見ということもありますので、ここは無理をしないで、まず一度お客様に袖を通していただき、そのうえで更なる工夫が必要か、これでOKかを判断したいと思います。

家庭洗濯での色移りです。

色移りしたキュロットパンツ

お母さんからの相談品です。
家庭で洗濯したところ、何かから赤い色が移ってしまったそうです。
ユニクロ製なので、あまりお金をかけたくはないが、娘のお気に入りなので、キレイになるのならということです。

このように全体的に色が移ってしまった場合、この品物に対してだけ、色を取るための処理をしなくてはなりません。
つまり、どうしても割高な処理になるのは致し方ないのです。

ただし、当店では、うまく行かなかった処理に対しては料金をいただいておりません。

色取りをしたキュロットパンツ

安くあげてみようと思い、簡単な方法を試してみましたが、どうも今回は有効ではありませんでした。
結局、いつも行う方法で、この一枚だけを特殊な液に漬けて色を取りました。

これで喜んでいただけるのではないでしょうか?

強烈な折シワは完全には取れません。

折シワ

ダーツの向かって左側に凹んだ形のシワがあります。
これは、仕上がったばかりの洋服なのですが、このシワは、反として折って保管されていた時の跡だと思います。

学生のスラックスや折スカートの丈を出したときに典型的ですが、長く折られたままだった跡は、とても強固でどうしても完全には分からなくできません。
それと同じだろうと思います。

修正後

蒸気アイロンで生地の裏から、そして表からなんどもなんどもシワを消してみました。
しかし、光の当たり加減では、けっこうハッキリ分かります。
強固についてしまった折られた跡は、とても強敵です。

麻ブラウスの染替え依頼です。

染替え前の麻ブラウス

真っ白の麻のブラウスをお持ちのお客様でしたが、どうも真っ白は自分に合わないということで染替えをご希望でした。
希望の色は濃い緑です。

当店は、サイズを測定しておき、染替わって品物がかえってきたとき、サイズのチェックと仕上げを担当します。
染替え作業自体は、市内久松台にある、久松協働センターへお願いしています。

染替えた麻ブラウス

希望の色に染めあがって帰ってきました。
ポリエステルは染替えできませんから、白い部分はポリエステルの部分です。

白いのは糸、特に目立つのはボタンホールですが、良いアクセントになっていると思います。
後はカフスやエリの内側の接着芯も染まってないので、少し白っぽく見えます。

染替えは、染めあがりが思った色でないとか、雰囲気が違うとかあっても、後戻りできない処理です。
その辺のリスクをキチンとご理解いただいてから、お受けしております。